- サナ通信
- 2017.05.22
サナ通信 Vol.14 過曝気とは(症状と対策)~その2〜
過曝気とは(症状と対策)~その2〜
活性汚泥排水処理の管理においてざっくりと『過曝気』と判断される場合がありますが、一概に過曝気といってもさまざまな意味を持ちます。その時どのような現象が見られているのか、どんな対策があるのか、その事例をご紹介いたします。
ケース2
それまでは沈殿槽の処理水の透視度も良くきれいな日々であったが、ある日、沈殿槽水面にスカムが張った。または、沈殿槽水面に汚泥の塊が浮上した。
解説
- これは沈殿槽底の沈殿汚泥中で窒素ガスが発生し、このガスにより浮力の着いた汚泥が浮上したケースです。
- 好気状態の曝気槽において、アンモニウム体・有機体窒素が酸化されること(硝化)で生成された亜硝酸体・硝酸体窒素が、嫌気状態の沈殿槽で還元されることで窒素ガスが発生(脱窒)します。
- アンモニウム体・有機体窒素は曝気槽に原水から供給され、曝気槽BODが少なくなったころからぐんぐんと硝化します。沈殿槽では沈殿汚泥のDOがなくなると脱窒を始めます。
この場合の過曝気とは、曝気槽DOが高く保たれることで曝気槽滞留時間に対しBOD分解が早々に終わり、その分残りの曝気槽滞留時間で硝化が進み、アンモニウム体窒素から亜硝酸・硝酸体窒素に硝化される割合が増えることを意味します。
チェック
チェック項目が多いと汚泥浮上の原因は硝化・脱窒によるものと考えられます。
- 沈殿槽上澄みから亜硝酸、硝酸が検出される
- 浮上汚泥に嫌気臭がない
- 工場の休み明けや休み中に汚泥浮上が起こる
- SV測定時の汚泥中に気泡が確認できる。または、のちに沈殿した汚泥が浮上する
- 沈殿槽表面にプチプチと気泡が出るのが確認できる
- 顕微鏡検査中の視野に徐々に気泡が確認されるようになる
対策
- 取り急ぎ沈殿槽から曝気槽への返送汚泥を増してください
- 曝気槽のDOが高い場合は曝気風量を減らして適正DOに管理してください。
- 硝化抑制剤『SANAズーミー』のご使用をおすすめいたします。
- 脱窒場所や脱窒時間を設ける運転操作を検討されることをおすすめいたします。
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