マヨネーズ製造工場
油脂対策事例
第2曝気槽処理水の油分による処理鈍化、白濁に関する調査
- 排水対策
施設概要
- 現状
- 第2曝気槽後の沈殿槽処理水が油分により処理鈍化、白濁している。
- 排水種
- 製造排水
- 処理方式
- 活性汚泥方式
- 放流先
- 下水道
- 放流規制値
- BOD=600mg/L、SS=600mg/L、n-Hex=30mg/L
- 原水量
- 360㎥/日
- フロー
- ■加圧浮上━第1曝気槽→第1沈殿槽
┣第2曝気槽→第2沈殿槽
┗第3曝気槽→第3沈殿槽
返送汚泥:各沈殿槽→各曝気槽
曝気槽汚泥外観
- 第2曝気槽
- 汚泥はクリーム色で、嫌気臭があります。
汚泥中に微細なオイルボールが多く見られます。
現状分析
第2曝気槽顕微鏡検査
フロックが分散していて、サイズが細かく圧密性が低い傾向です。処理が良好に進まず、硫化水素が発生している環境ではベギアトアが多く見られます。また、これによりバルキングを起こし沈降性に影響を与えます。処理水の濁りは分散したフロックと浮遊しているベギアトアによるものと判断できます。
指標生物詳細
指標 | 生物名 | 出現強度 |
---|---|---|
良性 | ー | ー |
中間性 | ー | ー |
否良性 (嫌気・バルキング) |
べギアトア | 強 |
顕微鏡写真
フロック像
フロック像
べギアトア拡大像
考察
第2沈殿槽の処理水の濁りは、処理不調により発生したべギアトアと浮遊フロックが原因です。べギアトアが発生したことで、第2曝気槽の活性汚泥内が嫌気環境になっていることが考えられます。これにより、多くの負荷が第2曝気槽にかかっていることがわかります。特に汚泥中に微細オイルボールが見られることから、経路上の蓄積部などからこれが第2曝気槽に流入したことが疑われます。結果、過負荷になった第2曝気槽の活性汚泥は活性を失い、処理不全となり、現状に至ったと考えられます。
今後の懸念事項
- 処理水質の悪化(特にn-Hexの増加)
- 曝気槽での発泡
対策
油脂分により処理不調になっている第2曝気槽に下記対策をおこなう。
- 油脂分解促進剤『SANA-油トールA』を加圧浮上後の原水に原水量の20mg/L量を添加します
- 油脂分解菌剤『SANA-WN-EX』を曝気槽に曝気槽容積の3mg/L量を添加します
製品名 | 使用量 | 日数 | 添加場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|
油脂分解促進剤 『SANA-油トールA』 |
原水量の20mg/L | 継続 | 加圧浮上後の原水貯留槽 | 原水流入時間帯の点滴添加 |
油脂分解菌剤 『SANA-WN-EX』 |
曝気槽の3mg/L | 継続 | 曝気槽入口 | 1日1回添加 |
対策前考察及び対策中、対策後の分析結果
処理⽔のBOD、SS、透視度の推移
12/2の対策スタート前から⽐較してBODは96mg/Lから最終的に13mg/Lと86%の改善、SSは43mg/Lから最終的に10mg/Lと77%の改善、透視度は11から最終的に28まで61%の改善がみられました。
曝気槽汚泥中のn-Hexの推移
曝気槽中に残留している油脂分を表すn-Hexは1100mg/Lから最終的には390mg/Lまで減り、65%の改善がみられました。
良性指標の変化
顕微鏡観察の結果、汚泥の活性が低く、硫化水素の発生で繁殖するべギアトア(嫌気性糸状性細)が繁殖していて、良性指標は見られなかったが、対策途中で生物相が変化し、最終的にはべギアトアが無くなり、良性指標2種類が繁殖するまで改善しました。
今後の方針
今回の対策により処理機能の根本となる活性汚泥が復帰し、処理⽔も改善しました。今後、この状態を維持するために、油の過剰な流⼊を避けるとともに、定期的に『SANA-油トールA』と『SANA-WN-EX』の添加をおすすめします。
導入製品
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