化学品窒素補給切替の提案
- 排水対策
標準的な活性汚泥法による処理の流れ
活性汚泥バクテリアの栄養バランス
活性汚泥バクテリアにとっての栄養バランスは、BOD:窒素:リン=100:5:1が理想とされています。窒素源の供給には、「尿素」「窒素・リン製剤」など化成品が多く使用されています。※化成品は添加の設計がしやすく安価なため、上記の薬品が採用されることが多い。
化学品による活性汚泥バクテリアへの栄養補給
尿素の持つ窒素分は、水に触れると加水分解し「アンモニウム態窒素」に変化していきますが、さまざまな試験により化成品由来の窒素源は硝化菌以外の活性汚泥バクテリアにとっては、非効率な栄養素であることが分かってきました。
有機栄養源によるバクテリアへの栄養補給
活性汚泥バクテリアにとって、効率的な栄養に成り得る窒素源を供給できれば、バクテリアの活性度向上及びフロック成長促進効果が期待できます。
サナ製品のご提案
遅効性窒素分・ミネラル分配合バイオ製剤『SANA-N』
有機態窒素源を豊富に含み、効率的に活性汚泥バクテリアの栄養素として利用されます。 活性汚泥バクテリアの多様化に作用し、製品中に配合されているバクテリアの相乗効果により、分解能向上・汚泥フロック成長促進効果があります。尿素などに比べ窒素源が効率よく利用されることから、放流水の窒素が高くなりにくく、沈殿槽以降の藻の発生の減少も期待できます。また、配合ミネラル分が、バクテリアの耐性向上に作用し、殺菌剤などのダメージを与える流入があった際の汚泥フロック解体抑制効果が期待できます。
高濃度バクテリア配合・遅効性窒素分補給バイオ製剤『SANA-BASE9(膜処理施設対応)』
SANA-N同様の有機態窒素源補給による効果、及び高濃度で配合されたバクテリアによるフロック形成促進、沈降性向上効果が期待できます。
製品の選定について
尿素、窒素リン栄養剤など、化学品による窒素の補給からの切り替え。
SANA-N
尿素、窒素リン栄養剤の切替による経費削減、及び長期的に安定した管理をおこないたい。
SANA-BASE4
尿素、窒素リン栄養剤の切替による経費削減、及びSANA-Nの作用にプラスして、低負荷対策も同時におこないたい。
SANA-BASE9
尿素、窒素リン栄養剤の切替による経費削減、及びSANA-Nの作用にプラスして、汚泥フロック形成向上による沈降性向上を行いたい。膜処理施設、及び安衛法に対応した処方で使用したい。
上記3製品、全てバクテリアを含有しており、曝気槽内バクテリア+新たに投入されるバクテリアの相乗作用で、フロック形成向上の効果を発揮します。
SANA-Nの窒素利用効率・フロック成長
化成品の栄養orSANA-Nの栄養
活性汚泥フロックの成長と窒素の利用効率についての検証
活性汚泥に与えられた窒素は、好気的環境において活性汚泥バクテリアに取り込まれ活用されるもの、硝化細菌によって硝酸化するものとに大別されます。よって、添加した窒素がどこに利用されたかを調べることで、活性汚泥への活用の度合を測ります。また、その時の活性汚泥フロックの成長の良し悪しで栄養の有効性を判断することができます。
実証試験
原水
蒸留水にブドウ糖を溶解しBOD100mg/lに調整したものを原水とした。
活性汚泥
標準活性汚泥方式の排水処理施設の活性汚泥を沈殿濃縮したものを用いた。
試験手順
- 1L容器4つに各々0.5Lの濃縮活性汚泥を用意した。
- 各々に0.5Lの原水を加えると共に、次の表の通り栄養を添加し、曝気を開始した。
- 22h曝気後曝気を停止し活性汚泥を2h沈殿させ、処理水として0.5Lを抜き取った。
- 改めて原水0.5Lと栄養の添加を行った。(d系列の栄養は初回のみで以降は添加無し)
- 3.で抜き取った処理水はCODMn,NH₄-N,NO₂-N,NO₃-Nの測定をおこなった。
- 3.4.5.を1サイクルとして4サイクルおこなった。
- 4サイクル目の沈殿開始前の活性汚泥を各々採取し顕微鏡検査をおこなった。
各栄養の添加量と添加頻度
(上段:添加量 中段:添加頻度 下段:BOD:N:P)
栄養補給品 | a系列 | b系列 | c系列 | d系列 |
---|---|---|---|---|
尿素 | 10mg/L 原水添加毎 100:4.6:0 |
– | – | – |
窒素リン混合剤 | – | 10mg/L 原水添加毎 100:4.6:0.8 |
– | – |
SANA-N | – | – | 100mg/L 原水添加毎 |
10mg/L 初回のみ添加 |
試験結果その1:活性汚泥フロックの成長観察
考察その1:栄養別の活性汚泥フロック成長の優劣
化成品を用いたa系列、b系列(尿素、窒素リン混合剤添加区)において、フロック圧密性の向上が確認できます。c系列、d系列(SANA-N添加区)ではフロック圧密性とフロックサイズ成長が目覚ましく化成品添加区a.b系列をはるかに凌ぐ結果となりました。さらに注目する試験区は、SANA-N添加量を大幅に少なくしたd系列です。添加量が圧倒的に少ない状況においてもフロックサイズの著しい成長が確認されました。
以上のことからフロック成長に関しSANA-Nの有効性が見て取れます。
COD及び窒素形態分析結果
COD結果(mg/l) | a系列 | b系列 | c系列 | d系列 |
---|---|---|---|---|
1サイクル目 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
2サイクル目 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
3サイクル目 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
4サイクル目 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
窒素形態結果(mg/l) | a系列 | b系列 | c系列 | d系列 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
NH4-N | NO2-N | NO3-N | NH4-N | NO2-N | NO3-N | NH4-N | NO2-N | NO3-N | NH4-N | NO2-N | NO3-N | |
1サイクル目 | 0.2 | 0.005 | 0.5 | 0.2 | 0.005 | 0.5 | 0.2 | 0.005 | 0.2 | 0.2 | 0.005 | 0.2 |
2サイクル目 | 0.2 | 0.005 | 1 | 0.2 | 0.005 | 1 | 0.2 | 0.005 | 0.3 | 0.2 | 0.005 | 0.2 |
3サイクル目 | 0.2 | 0.005 | 5 | 0.2 | 0.005 | 5 | 0.2 | 0.005 | 0.5 | 0.2 | 0.005 | 0.3 |
4サイクル目 | 0.2 | 0.001 | 5 | 0.2 | 0.001 | 5 | 0.2 | 0.001 | 0.5 | 0.2 | 0.001 | 0.3 |
各系列の窒素形態結果グラフ
処理水の窒素形態と濃度
考察その2:窒素形態分析(窒素活用について)
<COD>
全ての系列、全てのサイクルで5.0mg/lであり、添加した原水は全ての系列で順調に分解されたことが分かります。
<窒素の消費>
a~d系列においてアンモニウム態窒素、亜硝酸態窒素では大きな違いは見られませんでした。硝酸態窒素についてはa,b系列(尿素、窒素リン混合栄養剤添加区)においてサイクルを重ねるごとに硝酸が増加しています。これに比較し、a,b系列と同量の窒素量であるc系列(SANA-N添加区)の硝酸の増加は少ない傾向がみられました。
この事から、処理水に硝酸が多く残っていない点より、SANA-Nとして添加された窒素は、その多くが活性汚泥に取り込まれたと考えられ、活性汚泥バクテリアへの窒素補給に関しSANA-Nの有効性が見て取れます。
最後に
下記のような諸条件によってSANA栄養剤のフロック成長効率に違いが生じますので、個々の状況を把握させて頂いたうえで、最善のご提案、及び導入後の経過観察・運用アドバイスをおこなっています。
- 原水性質
- 処理プラントの特性
- プラント運用方法
- 前処理装置の能力変化
- 水温変化に伴う微生物活性の変化
- 製造品目の変更や製造量に変化に伴う原水水質の変化
化成品からSANA栄養剤への切替実施前に弊社でのテーブルテストでの効果検証も可能です。お気軽にお問い合わせください。
導入製品
SANA-N
有機態窒素源を豊富に含み、効率的に活性汚泥バクテリアの栄養素として利用されます。 活性汚泥バクテリアの多様化に作用し、製品中に配合されているバクテリアの相乗効果により、分解能向上・汚泥フロック成長促進効果があります。尿素などに比べ窒素源が効率よく利用されることから、放流水の窒素が高くなりにくく、沈殿槽以降の藻の発生の減少も期待できます。また、配合ミネラル分が、バクテリアの耐性向上に作用し、殺菌剤などのダメージを与える流入があった際の汚泥フロック解体抑制効果が期待できます。
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