Business硫化水素臭対策

硫化水素臭の特性

『 硫化水素臭 』は主としてドブ川、ヘドロ、側溝などの嫌気環境下において発生し、日常接する機会の多い悪臭です。悪臭防止法では、硫化水素臭は1号規制(敷地境界線の地表における規制)のほかに、2号規制(煙突等からの排出口における規制)、3号規制(排出水の敷地外における規制)の対象になっています。

腐った卵のような特異的な不快臭を有する硫化水素臭は、人体への毒性が強く、金属やコンクリートを腐食する性質があり、実際の臭気発生現場では、周辺環境・住民への臭気対策、作業空間の快適性のほかに、作業者および近隣住民の健康への影響、施設・機器への腐食等においても問題になりやすく、有効な臭気対策を行うことが非常に重要です。

硫化水素の特徴

常温での状態 無色の気体
水への溶解性 常温では1容の水に約3容溶ける。 0.4g/100ml(20℃)
相対蒸気密度(空気=1) 1.18 (空気より重い物質)
検知閾値濃度(#) 0.0005ppm  #臭気を感知できる最低濃度
規制基準の濃度範囲
(臭気強度2.5~3.5)
0.02~0.2ppm (事業場の敷地境界線の地表における規制基準)
臭気の特徴 卵の腐ったにおい、硫黄泉のにおい
主な発生源 し尿処理場、下水処理場、パルプ製造工場、畜産事業場、堆肥場、汲み取りトイレ、ドブ川、ヘドロ、下水管、側溝、バキューム車etc.
発生のメカニズム
  • 火山ガスの噴出によるもの
  • 卵や肉などの硫黄分を含むタンパク質の微生物による嫌気分解
  • 硫酸還元菌による硫酸イオンの還元反応(湖・海等の底質、下水管渠中等の嫌気条件下のみ)
毒性
  • 眼、鼻、喉の粘膜を刺激する。高濃度のガスを吸入すると、頭痛、めまい、歩行の乱れ、呼吸障害を起こし、死に至る。
  • ACGIH(米国産業衛生専門家会議)が勧告する作業環境の大気中の許容濃度は、10ppm(TWA:時間加重平均値)及び15ppm(STEL:短時間暴露限界値)、日本産業衛生学会が勧告する許容濃度は、5ppm(7mg/m3)である。

※下水管や排水タンク内の点検・清掃時には注意を要する。

施設・機器への影響 硫化水素はコンクリートや金属の腐食原因物質で、多くの施設(し尿処理施設、下水処理場等)において施設機器の寿命に悪影響を与えている。
その他法規制
  • 大気汚染防止法:特定物質
  • 水質汚濁防止法:要調査項目に係わる物質
  • 労働安全衛生法:特定化学物質第2類
  • 労働安全衛生法:名称等を通知すべき有害物

硫化水素ガスの濃度と作用

濃度 (ppm) 作用
0.3 明らかに臭気を感じる
5 不快感が起こる
50 呼吸気道が刺激され、障害が起こる
100 暴露が長引けば、激しい中毒が起こる
800 直ちに致命的な急性中毒にかかる

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